量子脳理論とは？

• 物理学者であるロジャー・ペンローズによって提案された、意識や人間の思考についての理論
• 古典的な計算モデルでは説明できない意識の本質について、量子力学の原理を応用することで説明しようとする試み
• 具体的には、脳の中の微小な構造やタンパク質の振る舞いが量子力学の原理に従っており、その量子的相互作用が意識の起源に関与しているとされる。

説明

ペンローズによれば、脳の「微小管」で波動関数の収縮が起こるとされる。「微小管（マイクロチューブル）」とは、脳の神経細胞にある器官で、ペンローズは、アメリカの麻酔学者、スチュワート・ハメロフ博士から、この微小管が幾何学的な構造をもち、量子的な働きをしている可能性があるとの情報を得て興味をもった。微小管は、チューブリンというタンパク質が円筒形に連なっており、このチューブリンは伸びた状態と縮んだ状態の2種類の形を取ることができ、この 2つの状態が量子的な重ね合わせとして機能すると仮説を立てた。

この理論の問題点

この理論は、意識の起源や自己の統一性など、古典的な計算モデルでは説明が難しい心の問題に対して、新たな視点を提供するものとされているに過ぎず、科学的な合意が得られているわけではなく、議論が続いている。一部の科学者や哲学者は、この理論を批判し、脳の活動や意識の起源を古典的な計算モデルで説明しようとする立場を支持している。