統合情報理論(IIT)とは?
- アメリカの精神科医・神経科学者のジュリオ・トノーニが、2004 年に意識の「統合情報理論(IIT, integrated information theory)」を発表。
- 意識が生まれるためには、情報の統合が行われる必要があり、その統合された情報の量は、意識の量に対応しているという理論
主観的体験がもたらす情報の統合
- 私たちの体験する主観的な意識は、その身体の所有者のみに存在するという考え方が前提となっており、主観的に体験する情報が統合されて、はじめて意識が芽生える。
- 例えば、あなたが、ダイニングテーブルの前に座り、家族と一緒に笑いながら、食事を楽しんでいることを思い浮かべてください。「ダイニングテーブルに座っている」「家族と笑っている」「食事を楽しんでいる」、その一つ一つの体験から、「あなた」という意識が浮かび上がります。今、あなたがした体験は「あなた」に固有のものです。「あなた」のみに存在し、「あなた」から切り離すことはできません。
意識レベル(意識の量、φ)
- 体験する情報の量が多い時には、「あなた」という意識の量が多いことになる。
- 意識を生み出すこの量や複雑さを Φ(ファイ)という数値で定量化する。
- Φ が 0 のとき意識は生まれず、Φ が大きくなるほど意識が強くなる。
- 人間の脳は、他の動物に比べて量や複雑さは大きくなっており、非常に大きな Φ の値となっており、意識が強いと言える。これは、神経細胞同士がシナプスを介して密に情報をやりとりすることで情報が統合されていると言える。
- この理論が正しければ、コミュニケーションの取れない植物状態の人でも、脳活動から統合情報量を計測することで意識レベルを測ることが可能になると考えられている。