情動喚起のプロセスの考え方
- 状況(出来事)をいかに評価するかによって、喚起される情動の種類と強度は大きく変わる
- さらに喚起された情動の違いによって、その後の行動も変わっていく
- 情動喚起のプロセスには、様々な学説がある
情動の認知評価説
- アーノルド(Arnold, M.B.)が最初に提唱
- 情動は刺激に対する個人の認知的な評価(解釈)によって引き起こされるとされています。つまり、私たちがある状況や出来事をどのように解釈し、評価するかが、その後に生じる情動の種類や強さを決定するという考え方
状況 → 評価 → 情動 → 末梢反応・行動
情動の末梢反応説
- ジェームズ(James, W.)「悲しいから泣くのではない。泣くから悲しいのだ」
- ジェームズ-ランゲ(Lange, C.G.)説
- 末梢反応は、情動(の意識的)体験に先行する。つまり、末梢反応を時間的に遅れて知覚することにより情動が喚起されるという考え方
- ジェームズは評価のプロセスを否定した訳ではなく、強調しなかった
状況 → 末梢反応・行動 → 情動
状況 → (評価) → 末梢反応・行動 → 主観的に感じられる情動
情動の中枢起源説
- キャノン(Cannon, W.)-バード(Bard, P.)説
- 脳中枢プロセスが末梢反応に先行すると見なしている。すなわち末梢反応や行動が情動を生み出すわけではない
状況 → 中枢(評価+主観的に感じられる情動)→ 末梢反応・行動
情動の2要因説
- 情動の主観的に感じられる側面と認知評価される側面を分離して考える
- シャクターとジンガーによる実験
現在の多くの研究者らの共通見解は?
- 主観的に感じられる側面(the feeling aspect)と認知評価される側面(the cognitive appraisal apect)の2面をもつこと
- 認知評価というプロセスなくして情動は喚起されない
参考文献
「動機づけと情動」 今田純雄・北口勝也 培風館