パーソナリティについて
- パーソナリティは、個人の感情体験やその強度に大きな影響を与えます。
- 類型論は、人によって性格(パーソナリティ)は様々だが、全く異なるわけではなく、いくつかの共通項が見られる。その共通性に沿って、人をいくつかのタイプに分けて捉える方法
- 特性論は、数多くの視点(特性)から、その特性を持つ程度を考慮して、性格を捉える方法
- 因子論は、因子分析などの統計的な手法を用いて、関連の強い特性を因子にまとめて記述する方法
5因子論(ビックファイブ、丹野(2003))
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- 外向性ー内向性
- 人との関係において積極的で活動的かどうか、それとも控えめかどうか
- 極端になると、外向性では無謀な面が、内向性では臆病という面が強くなる
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- 愛着性ー分離性
- 協調性ー敵対性とも言える
- 人との関係において、協調的かどうか、それとも自主独立的かどうか
- 極端になると、愛着性では集団の中に埋没し自己を失い、分離性では冷淡で自閉的になるという危険がある
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- 統制性ー自然性
- 物事に対して目的や意志を持って勤勉に取り組むかどうか、そうではないか
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- 情動性ー非情動性
- 情緒不安定性とも言える
- 情緒が不安定かどうか、安定かどうか
- 情動性が強い人つまり情緒不安定な人は、ストレスに対して不安や緊張を持ちやすく、神経症に陥る可能性がある
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- 遊戯性ー現実性
- 経験への開放性や知性とも言える
- イメージや思考などが豊かどうか、そうではない
情動とパーソナリティの関係
- 情動の経験もまた、長期的にはパーソナリティに影響を与える可能性がある。たとえば、頻繁にポジティブな情動を経験する人は、時間とともに外向性や調和性が高まることがある。また、トラウマや強いネガティブな感情体験は、神経症傾向や回避的なパーソナリティの特徴を増加させる可能性がある。
- 遠藤(2002)は、ある種の情動経験の蓄積が、特異的なパーソナリティの形成を方向づけることを指摘し、情動がパーソナリティのオーガナイザーとしての役割をはたす可能性について考察している。
- 外向性: 喜び・快感情
- 情動性(神経症傾向): 恐れ
- 分離性(敵対性): 怒り
- 遊戯性: 興味
- 統制性: ネガティブな情動経験一般に対する防衛的対処
感情調整とパーソナリティの関係
- パーソナリティは、感情の調整にも影響を与える。感情調整は、情動をどのように認識し、表現し、抑制するかに関連する。
- 認知的再評価(Cognitive Reappraisal):
- 高い誠実性や調和性を持つ人は、状況を再評価してポジティブに捉える傾向があり、感情の調整がうまくいきやすい。
- 表現抑制(Expressive Suppression):
- 神経症傾向が高い人は、感情を抑圧することで一時的には対処しようとしますが、長期的には不安やストレスが増すことが多い。
参考文献
「よくわかる情動発達」 遠藤利彦・石井佑可子・佐久間路子 ミネルヴァ書房