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ヘルムホルツの無意識的推論

ヘルムホルツの無意識的推論について説明します。

ヘルムホルツ(Helmholtz)の無意識的推論とは

  • 19世紀のドイツの生理学者・物理学者であったヘルムホルツは、感覚が必ずしも正確な物理的現実を直接反映しているわけではないことを認識していた。
  • 例えば、視知覚は、網膜像から外環境の状態が推定された結果である。視覚の機能は、2次元の網膜像から3次元の立体構造を推定すること(不良設定問題)であると言える。

無意識的推論の例

  1. 錯視

    例えば、ミュラーリヤー錯視(Müller-Lyer illusion)では、線分の長さが同じにもかかわらず矢じりや矢羽の向きの違いによって長さが異なって見える。これも無意識的な推論の結果であり、日常的な経験(例えば遠近法)に基づいて、脳が情報を解釈している。

  2. 補完現象

    物体が部分的に遮られていても、遮られた部分を補完して「完全な物体」として知覚する。例えば、木の後ろに部分的に隠れている車を見たときに、無意識的に車全体を知覚するのもこの推論に基づいている。

  3. 音源定位

    聴覚では、音がどの方向から来ているかを特定するために、両耳間の時間差や音量差といった情報を利用する。

能動的推論との関連(共通点)

  • 無意識的推論の考え方は、「能動的推論」とも関連している。能動的推論では、感覚入力を単に受け入れるだけでなく、エージェントが仮説を立てて、環境との相互作用を通じて、その仮説を検証するプロセスを強調する。
  • どちらも感覚情報に基づく推論的プロセスを重視しており、外界の不確実性を埋めるために、脳が何らかの「仮説」や「モデル」を使って働いていると考える。
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